炎症を通じて口腔と全身が繋がる時代

こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。

糖尿病と歯周病には、互いに深い関わり合いがあることは、一般的にも徐々に知られるようになってきました。

糖尿病を発症、悪化すると歯周病が悪化するリスクが高くなり、逆に歯周病が進んだ患者さんは、糖尿病発症や悪化のリスクが高くなることがわかっています。

歯周病の進行度のグレード分類のとして、糖尿病の診断の指標のひとつとして用いられるHbA1cが7%以上の患者さんは歯周病の進行速度が早い傾向にあり、歯周治療により糖尿病のリスクを減少させる可能性があると考えられています。

また、炎症の有無を診断する際に採血して測定するCRP値が、歯周病の進行速度の指標に用いられるようになってきています。

体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、正常な血液の中にはごく微量にしか検出されないCRP(C-リアクディブ・プロテイン)というたんぱく質が増加します。

通常、健康診断等の血液検査でCRPは0.3mg/dL以下は基準値以下の正常値とされているのですが、
実はCRPが基準値以内であっても、0.1mg/dL以上で心筋梗塞や糖尿病の発症のリスクは3倍となるという報告があります。

この、採血により感知出来る程度の慢性的なわずかな炎症が歯周病の進行速度の指標として重要であると考えられているのです。

そして、服薬等をしなくとも適切な歯周基本治療を行うことで、CRPを0.1mg/dL減少させることが、報告されています。

これにより、歯周基本治療により口腔内の炎症を取り除くことで全身的に炎症状態が改善され、心筋梗塞や糖尿病の発症のリスクを減少させれるということが示唆されます。

当院で通院されている患者さんには、歯周治療後のメインテナンスのために2~3ヶ月に一度の来院をお願いしているのですが、

年間1~3回(4ヶ月~1年に一回)の歯科通院に比べて年間4回以上(3ヶ月に1回以上)のペースでの歯科通院により、糖尿病の医療費と入院回数は4割も減少するという報告があります。

これからの歯周治療は、炎症の消退を通して全身の健康に寄与すると言えるのかもしれません。