2020年 03月 13日

歯周病とインフルエンザ

こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。

連日、新型コロナウイルス関連のニュースが飛び交っておりますが、
季節性インフルエンザについては、もちろん報道されているとは思うのですが、新型コロナウイルスに対する世間の関心の高さも影響してなのか、
年明け以降はピーク時にも関わらずあまり話題に上がらなかったように感じます。

ひっそりとピークを過ぎた今シーズンの季節性インフルエンザの感染者数は、
実は昨シーズンより少ない状況となっていて、ピーク時期も例年に比べ患者数があまり増加しませんでした。

厚生労働省がまとめた昨シーズンと今シーズンの患者報告数を比較すると、
今シーズンは早い時期から流行が始まり12月までは昨シーズンを上回る報告数で推移していましたが、
例年患者数が急増する年末から年始に関して前月と比べてほとんど変化がなく、
1月20~26日の報告数では昨シーズンの約3分の1に留まっています。

このような結果となった要因の一つに、
新型コロナウイルスに関して、1月16日に日本で最初の感染者が確認されたことで、
以降、不要な外出を控えるようになり、例年以上に手洗い等の対策を皆さんが徹底して行ったことが功を奏したということが考えられます。

インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスは別物なので、その点は間違えてはいけませんが、
感染防止対策についてはインフルエンザの予防と共通な訳なので、
結果的に、皆さんの感染対策の実施により、流行しやすい気象条件となった立春後の寒波の際も、季節性インフルエンザの患者数の増加は見られませんでした。

今シーズンの累計の患者数は約700万人で昨シーズン同時期の約1100万人に比べ400万人余り減少していて、
手洗い等の対策がインフルエンザ感染対策として非常に有効であることがはっきりしましたね。

因みにですが、歯周病とインフルエンザの関係性があることをご存知でしょうか。

インフルエンザと歯周病に関係があるなんて、驚かれるかもしれませんが、近年の研究ではその関連性が明らかにされてきました。

どうしても新型コロナウイルスにばかり意識が行きがちですが、
インフルエンザは、小児や高齢者、病気とその治療で免疫が低下した患者さんにとって、生命にかかわる重篤な感染症といえます。

ご自身がかからないようにすることはもちろん、ご家族や周囲の人々にうつさないようにするためにも、しっかり予防を心がけたいものです。

インフルエンザは、咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付着したものに触れたり、患者と握手をしたりした後にその手で口や鼻を触ることで感染します。

鼻やのどなどの気道の粘膜に付着し、細胞内に侵入したインフルエンザウイルスは、
ノイラミニダーゼと呼ばれるたんぱく質を溶かす酵素の働きで細胞外に放出されて、増殖して感染を拡大します。

タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は、
インフルエンザウイルスに直接作用するわけではなく、このノイラミニダーゼの働きを抑え、インフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込めることで感染が広がるのを防ぐ薬剤です。

インフルエンザ予防のための第一歩は、インフルエンザワクチンの接種です。
インフルエンザワクチンは、感染や発症を防ぐ効果は十分とはいえませんが、重症化を防ぐ効果は認められていることはよく知られています。

インフルエンザ流行シーズンには、インフルエンザワクチンを接種したうえで、外出先から戻ったら石鹸で手を洗うことが勧められます。

また、うがいやマスク着用もインフルエンザ予防によいとされています。
マスク着用は、ウイルスに触れた手で口や鼻に触れることを避ける意味もあるのかもしれませんね。

そして、もう1つ、日頃から気をつけて頂きたいのが、お口の中を清潔に保つことです。

歯みがきや口腔ケアをおろそかにしていると、
むし歯や歯周病の原因となる細菌が増殖してプラーク(歯垢)となります。

このプラークには、気管支炎や肺炎などの発症や重症化にかかわる肺炎球菌やインフルエンザ菌のほか、
重篤な感染症の原因となる黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア菌などの細菌も含まれていたりします。

これらの細菌はプロテアーゼと呼ばれる酵素を出し、
インフルエンザウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする特性をもっています。

つまり、お口のなかが不潔な状態を放置しておくとプロテアーゼの量が増え、インフルエンザの発症や重症化を招きやすくなるというわけです。

インフルエンザ予防には、もちろんインフルエンザワクチンの接種、手洗い、うがいが大切ですが、
かかりつけの歯医者さんで適切な歯みがきや口腔ケアの指導を受け、日ごろからお口の中を清潔に保つことは、インフルエンザの感染リスクを下げる為に有効いうことを知って頂けたらと思います。
(*口腔ケアによる感染の予防の有効性についてはインフルエンザウイルスについての説明です。現在流行している新型コロナウイルスについての対策ではございません。)

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