2020年 06月 05日

歯周組織再生療法

こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。

みなさん、歯周組織再生療法という治療をご存知でしょうか。

まず歯周病についてお話をした上での説明になりますが、

歯周病とは、歯周病菌の感染により惹き起こされる疾患ことで、ただ歯茎が腫れるという病気ではなく、歯槽骨と呼ばれる歯を支える顎の骨まで溶かしてしまう病気です。

初期~中等度の時点では、痛みを感じたりなど日常生活に支障をきたすこともあまりないため、定期的に歯医者さんに通っていないと、御自身では異変に気が付けないことも多く、
知らないうちに病状が進行してしまう場合もあります。
その結果、重度の歯周病となると、歯そのものは虫歯でなかったにも関わらず抜かなければならないこともある…考えると実は 恐ろしい病気なのです。

中等度~重度の進行した歯周病については、フラップ手術といって外科的な手術で歯茎の中の感染した部分をキレイに取り除く治療方法を選択することがあります。(保険適応)

ところが、このフラップ手術では失われた歯槽骨を回復させることが困難なため、
治療により炎症は改善したものの、歯茎が下がって歯の根が露出してしまうケースがあり、
術後、知覚過敏になりやすかったり、審美的にも歯が長く見えてしまいやすいという問題点があります。

そのようなことが危惧される場合に、フラップ手術と合わせて歯周組織再生療法をご提案することがあります。

歯周組織再生療法は、骨の回復を促す薬剤を塗布することで歯茎だけではなく歯槽骨の再生も促す再生医療です。
骨が再生すれば歯茎も盛り上がるため、見た目の改善も期待出来ます。

ただし、歯周組織再生療法はすべての歯周病の患者さんに行えるというわけではありません。
基本的には、骨の一部分のみが失われているの場合に限って適応することが可能です。
(今回は詳しい説明を省きますが、垂直性骨欠損や根分岐部病変と呼ばれる状態が適応になります)

ですので、歯の周り全体の歯茎が下がっている程の重度の歯周病の場合では骨を再生させることは非常に困難で、治療には適さない場合が殆どです。
治療を行う際には、歯周組織再生療法が適応できるかを診断するため、事前に入念な検査を実施することが必要になります。

歯周組織再生療法の流れとしては、

まず、麻酔をして、歯肉を切開して開き、歯根を露出させ、汚れや歯石を除去して表面をツルツルに(滑沢化)します。

その上で、骨が減少した部分に骨の再生を促す薬剤を塗りこみ、切開した歯肉を縫合し、1週間ほど経ってから抜糸します。

1ヶ月~数ヶ月後に、歯周ポケットの検査やレントゲン撮影により効果を判定します。

歯周組織再生療法に使用する薬剤は、
当院では、
「エムドゲイン」もしくは「リグロス」を用います。

エムドゲインとリグロスの違いは薬剤に使われている成長因子の種類にあり、
エムドゲインは豚の歯胚から抽出されたエナメル基質タンパク質を用いますが、
リグロスはbFGFというヒトの成長因子を用います。

どちらの薬剤についても、
高い治療成績が報告されている薬剤ですので、適切な条件下で処置を行えば確かな効果が期待出来ます。

また、エムドゲインは自由診療となりますが、リグロスについては2016年から保険適応となったため、保険診療の範囲内で使用することが可能で、患者さんが負担する費用を軽減させることができます。

ただし、エムドゲイン療法の方が早くから開発され、1990年代から世界中で多数の治療実績が積まれてきたのに対し、
リグロスは2016年に世界初の歯周組織の再生医薬品として承認された比較的新しい治療法のため臨床結果の実績はまだまだこれからという面は否めません。

現在は、骨欠損の部分が限られた比較的軽度なケースや保険治療を主体として治療計画を立てた場合についてはリグロスを、
比較的大きな骨欠損に対して歯周組織再生療法やインプラント手術時などに骨補填材を使用する際に併用する場合はエムドゲインをご提案することが多く、最終的にどちらの治療方法を選択するのかは、患者さんの希望を伺いながら判断しています。