残っている歯に優しいインプラント治療

こんにちは。藤沢の歯医者「おだがき歯科クリニック」の小田柿です。

当院では、残念ながら歯を失ってしまった場合の治療法として、大きく分けて3つのパターンをご説明させて頂いております。

健康保険の範囲での選択肢としては、入れ歯(義歯)、ブリッジという方法がありますが、
第3の治療法として、自由診療にはなりますが、インプラントという治療方法をご提案する場合があります。

そこで、インプラントがどんな治療なのか、基本的なことについて説明致します。

インプラントとは、人工の材料や部品を身体に入れることの総称で、歯科では、歯を失ったあごの骨(顎骨)に体になじみやすい材料(生体材料)で作られた人工歯根を埋め込み、それを土台にセラミックなどで作った人工歯を取り付けたものを歯科インプラントといいます。

基本的には三つのパーツからできています。顎骨の中に埋め込まれる人工歯根部(インプラント体)、インプラント体の上に取り付けられる支台部(アバットメント)、歯の部分に相当する人工歯部(上部構造)から構成されています。

つい最近知られるようになってきたイメージのインプラント治療ですが、歴史は以外と古く、現在に通じるインプラントは1900年代初めに登場しています。
1950年代になるとスウェーデンのブローネマルクさんという人たちがチタンと骨が結合すること(この状態を「オッセオインテグレーション」と言います)を発見し、1965年にチタン製スクリュータイプのインプラントを用いた症例を報告しました。
その後、世界中で使用されるようになり、日本でも1980年代から治療が行われるようになりました。

インプラント治療のデメリットとしては、
①手術が必要である
②あごの骨の量や質(硬い、軟らかい)の影響を受けるためインプラントが長期間持たなかったり、場合によっては治療が出来ないことがある
③治療期間が長い
④自由診療のためどうしても治療費が高額となる
などがあります。

ですが、メリットとして
①残っている歯への負担がないため、将来的により多くの自分の歯を残すことが出来る(特に失ってしまった歯の両隣の歯を削らないで済みます)
②自分の歯(天然歯)に近い機能を与えることが出来るため、天然歯と同じようにしっかりものを噛むことが出来る
③審美性の回復が可能なため、見た目の違和感がない

などがあり、インプラントは利便性や快適性さらには審美性を求める風潮が広まる中で、それらの要望に応えられる治療方法と言えます。

また、気をつけないといけないことして、インプラントと天然歯の構造上の違いがあります。

インプラント体とその周りの骨とは隙間がなく、くっ付いた状態です

一方、天然歯の歯根の周りにはクッションの役割を担う歯根膜という組織があります。
そのため、噛むと歯はわずかに沈み込みます。
またこの歯根膜の中には、噛んだ時にかかる圧力を鋭敏に感知して、噛む力をコントロールするためのセンサー(受容器)もあります。

インプラントにはこのようなクッションもセンサーもありません。
骨の弾力によるほんの僅かな沈み込みしか生じません。
噛む力はあごの骨の周りの骨膜、噛むための筋肉、あごの関節などにあるセンサーによってコントロールされますが、
歯根膜にあるセンサーに比べ「感度」が劣るため、かみ合わせには十分に注意する必要があります。

また、インプラントの周り粘膜(歯肉)は天然歯と異なっています。
天然歯では、歯肉はエナメル質と付着上皮と呼ばれる部分で、その下の結合組織はセメント質と結合し、細菌などが容易に侵入できないようになっています。
インプラントにはそのような構造はないため、天然歯に比べ、細菌はインプラントと粘膜の間に侵入しやすい構造になっています。

そのため、徹底した歯ブラシによる清掃と定期的なメインテナンスが重要となります。

歯を失ってしまった場合の治療方法1つ取っても、様々なやり方があります。一概にどれが一番の治療方法ということはなく、当院ではそれぞれの患者さんに合った治療計画をご提案致しまして、治療を行わせて頂いております。